水イボとは、ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスが表皮角化細胞に感染して生じるもので、感染者皮膚から直接感染するだけではなく、プールや入浴の際のビート板やタオルを介して感染することもあります。
皮膚のバリア機能の未熟な乳幼児やアトピー性皮膚炎の患児が感染しやすく多発しやすいです。健常児では10歳以上になるとバリア機能が強くなり免疫もできるので感染しにくくなります。
成人発症の場合は、HIV感染と合併していることがあります。
発症後6ヶ月~3年程度経過すると自然に治ることが多いのですが、実際はかなり個人差があります。
治療方針
確実に治すには摘除することですが、大変な痛みを伴います。摘除するならば少しでも痛みを和らげるために麻酔のテープを処置の前に貼っていただくのですが、無痛にはなりません。乳幼児ならやはり泣いてしまいます。
発症後6ヶ月~3年程度で自然に治癒することが多く、移した方も移された側も、いずれは自然に治ることがほとんどなので、私たちのクリニックでは経過観察をお勧めしています。
どんどん増えるタイプ、ずっと同じところにあるタイプ、ある場所は治っても別の場所に出てくるのを繰り返すタイプと、経過観察しているとおおまかに3パターンありますが、ほとんどの場合は最終的には自然に治るので心配要りません。
例外は、水イボが化膿した場合と、10歳以上になっても治らない場合です。いずれも摘除した方がよいでしょう。
自然に治るので経過観察と医療機関で言われても、通園中の幼稚園・保育園や通っているスイミングプールの中には摘除してこないとプールに入れてくれないという困った現実があります。
摘除により患児が痛がるのは辛いが、摘除しないでプールに入れてもらえないのはかわいそうと板ばさみで悩む保護者の方に、銀イオン配合の保湿クリームで、その抗菌力を用いて水イボの治療にも応用のできるクリームを私たちのクリニックで採用したので報告いたします。
3A M-BF CREAMです。
このクリームは保険が利きません。1本15g入り2,000円(税別)です。
銀イオン配合クリームを使った実験データでは、2ヶ月くらい塗ると80%くらいの方に有効だとのことです。治るまでに時間を要することもあるのでプールに入る2ヶ月くらい前からは塗った方がよいでしょう。
※ 2ヶ月前から塗っていれば必ずプールに入れることを保証するものではありません。
塗り続けて、水イボが赤くなってきたら効果が出始めたサインなので続けましょう。ただし、水イボを越えて広範囲に赤くなったりガサガサしたり痒がったりした時はかぶれの可能性もあるので中止の上すぐに受診してください。